JINGUJI KAMIDANASHA

作り手紹介

木工

組子細工の第一人者による精緻な手仕事

木工イメージ

三祀御社の面格子。その精緻なデザインを実現するため多くの職人に声をかけました。しかし返事はすべて「できない」。2ミリ幅の細い木材を上部は3ミリ間隔で、下部は4ミリの間隔で組んでいくことはごく一握りの職人にしかできない高度な技術だったのです。しかも今回は硬質で加工の難しい神代木が、その風合いからデザイナーの強い要望で選ばれています。この面格子が実現できたのはひとえに横田氏の卓越した組子の技によるものです。社寺や城郭など文化財の修復を多く手掛けるかたわら、現代の暮らしの中でも組子の美しさを感じてほしいという氏の想いが新しい神棚の意匠として実現しました。
※神代木とは神代桂や神代欅など何千年も地中に埋没して いた木のことの総称になります。

横田栄一

栄建具工芸

昭和16年、長野県小諸の江戸指物師の長男として生まれる。16歳で篠ノ井の建具職人に弟子入りし修業を始め、さらに埼玉県浦和で一年半の修業を積み、26歳で長野に戻り篠ノ井で独立。伝統建具の需要が減少する中、卓越した技術で高い評価を得る。家屋の欄間、書院障子から社寺建具の製作、また多くの文化財修復でも知られ、現代のライフスタイルに合わせた組子の応用にも積極的に取り組んでいる。全国建具展示会で、内閣総理大臣賞4回の他受賞多数。昭和63年に「現代の名工」労働大臣表彰、平成11年には「黄綬褒章」を授与された。

白磁

日本一の白さを持つ高浜焼

木工イメージ

高浜焼は九州、天草の窯元で、自社で天草陶石を採掘する山を持つ珍しい窯元です。柳宗理の白磁土瓶や醤油差しを焼く窯としても知られています。天草陶石は高品質な白磁原料として世界的に有名ですが、高浜焼はその中でも鉄分をほとんど含まない最も白い石だけを選りすぐり、使うことができるため、他に類を見ない純白の磁器を焼くことができます。今回はお米と塩の器として焼締の白磁器を製作していただきました。

高浜焼 寿芳窯

上田陶石合資会社

宝暦12年(1762年)、上田家六代目の上田伝五右衛門武弼が、肥前の陶工山道喜左衛門を招いて釜を築いたのが始まり。伝五右衛門は長崎奉行に製品の良さを認められて、顔料や釉薬の購入の便宜がはかられるほどに。当時の色絵と染付けを用いた染付錦手焼は、オランダへ輸出されていた。明治時代に一時衰退したが、昭和27年陶石の販売を行なっていた上田家の上田陶石合資会社が復興する。

デザイン

伝統的な要素を踏まえた、新しい神棚

「現代の住宅に調和する神棚」を作るにあたってデザイナーが最初にしたことは神道の歴史と作法を調べることでした。
神宮司神棚舎の神棚には屋根がなく、いわゆる宮型ではありません。それは神棚の基礎知識を調べることで屋根が必要かどうかを客観的に判断した結果です。「神棚の本質を守りながら、生活習慣と住空間の変化に合わせて形を再考する。」それが今回のデザインの方法論です。造形は神社建築の様式の一部をクローズアップして再構築する手法をとり、「神棚」としての神聖さが損なわれないよう細心の注意が払われました。

酒井 俊彦

昭和39年高知県生まれ。東京造形大学卒。
コーゾーデザインスタジオにて佐藤康三氏に師事。
平成4年サカイデザインアソシエイツ設立。大手メーカーの家電製品、携帯電話等のデザインを手掛ける傍ら、企業向けデザインワークショップや「おいしいキッチンプロジェクト」などのデザインディレクションも行う。緻密なコンセプトワークに裏打ちされた造形力に定評がある。グッドデザイン賞、red dot award等受賞。
www.sakaidesign.com